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11 7月, 2014

ギャラリー・間「TYINテーネステュエ・アーキテクツ展 Human - Architecture」レポート

TOTOギャラリー・間で開催される、ノルウェーの若手建築家ユニット「TYIN (ティーン) テーネステュエ・アーキテクツ展」の内覧会に行ってきました。
"TYIN tegnestue Architects: Human - Architecture"

 ギャラ間では海外建築家の展覧会を30数回開催してきたが、北欧の建築家は今回が初めて。しかも建築家の年齢も今までで1番若い(32歳と33歳)という。
因みに展覧会のロゴなどにある日本語は、一見するとTYINのお二人が一生懸命書いた文字のように見えるが、原研哉事務所で働くスイス人による完全なデザインだ(!)


 「TYIN(ティーン)」とはかつてノルウェー国王夫妻を乗せていた船の名前であり、湖の名前。将来に漠然としていた時期偶然この船を手に入れ、二人で生活していたという。


 ヤシャー・ハンスタッド(左)アンドレア・G・ゲールセン(右)。
ノルウェー科学技術大学(NTNU)で出会い、コンペ参加を機に在学中の2008年に結成。ノルウェーのトロンハイムに拠点を置き活動している。自らがスポンサーを募り、タイ、ミャンマー国境からスマトラの森まで、世界各地で地域に根ざした社会的持続性をもった建築を作っている。


 3階展示室は導入編として、彼らが学生の時に携わったプロジェクトをメインに、アジア圏で完成したプロジェクトが並ぶ。


 バタフライ・ハウス(タイ)2009年
少数民族カレン族の孤児のために作られた6棟の宿舎。特徴的な屋根の形状は、宿舎を自然換気と乾季に備えて雨水をためる為でもある。


 セイフ・ヘイヴン孤児院の浴場(タイ)2009年
既存の不衛生だった水回り施設を機能的で清潔なものへと生まれ変わらせた。


 カッシア・コープ・トレーニングセンター(インドネシア、スマトラ島)2011年
主に煉瓦とシナモンの木材で出来た、シナモン生産作業員の養成所。シナモン樹皮を取った後に残される幹を構造やインテリアに用い、シナモン業界の倫理向上のために役立てた。クライアントのシナモン貿易商は、フランスで開催されていたTYINの個展に感銘を受けて依頼したという。


 TYINは徹底した現場主義。8週間の工期のうち5.5週間は現地にいて、雇った80人位のスタッフを率いながら現場の状況に応じて柔軟にホワイトボードを囲んだデザイン会議を続け、完成させた(その結果ゲールセン氏は15パウンド痩せたらしい)


 クローントゥーイ・コミュニティ・ランタン(タイ)2011年
スラム改善プロジェクトとして計画したサッカーコートなどのある遊び場。パターンが特徴的な柵は、古い窓のフェンスをリユースしている。


 4階展示室では、主に母国ノルウェーで学生たちと手掛けたプロジェクトが展示されている。
手前に見える木製の箱は2012年のヴェネチアビエンナーレ北欧館に出展した「TOOL BOX」。


 リスタの光(ノルウェー)2013年
移民の増加に悩む地域を観光地として投資を引きつけるような場所になるよう、地主集団に依頼されたプロジェクト。60メートルの板張りの歩道が、ノルウェー最南端ならではの景色を堪能できるキャビンへとつながっている。


 展覧会のサブタイトル「Human - Architecture」にもあるように、TYINの仕事にとって人的なネットワークは重要なツールである。本展ではTYINがお世話になった職人、学生、クライアント等のポートレートと共に、今回の個展の為に用意された彼らを象徴するような贈り物と一緒に展示されている。


 これはタイの珍しい植物の種子。地域社会に貢献する建築という長期的目標のシンボルとして、タイ人の建築家から贈られた。


 「TRDハイネマン」プロジェクトで協働した溶接工からは、棚の土台として使われた杭上家屋のミニチュアと、プラズマ切断加工された鉄製の部材。


 テラスにあるのはMDFで出来た世界地図。上から見ると、TYINテーネステュエ・アーキテクツが重点的に活動した場所が分かる仕組みだ。
人型ピースにはプロジェクトやワークショップ関係者の名前が付いている(まだ付いていないのはこれから会う人だそう)。


 アンドレア・G・ゲールセン氏(残念ながらもう一人のヤシャー氏は来られず)。
「今回の展覧会は、ともかく私達のすべてを見ていただきたいという想いで構成しました。自分達は現地に飛び込み学びながら建築家になりましたので、特に学生や若手建築家に見てもらえれば嬉しいです。最新情報としては、8月頃にノルウェーで32平米ほどの小さいコンサートハウスが竣工する予定です。4階の入口近くにある楽器を持って写っている人がクライアントね!」


展覧会に合わせて発刊されたTOTO出版書籍『ビハインド・ザ・ラインズ TYIN テーネステュエ』。
TYINがどのように歩んできたか、悩んできたか、ありのままの真実をジャーナリストが物語風に仕上げ、創造的刺激を追体験することができる。建築の将来を担う学生たちに向けたという一冊。

【TYINテーネステュエ・アーキテクツ展 Human - Architecture】
会期:2014年7月10日〜9月20日
場所:TOTOギャラリー・間
詳細:http://www.toto.co.jp/gallerma/ex140710/index.htm



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